狂犬病予防対策
会の活動
狂犬病とは
狂犬病は狂犬病ウィルスの感染によって引き起こされる、代表的な人と動物に共通する感染症です。狂犬病ウィルスは、狂犬病に感染した動物の唾液中に含まれ、動物に咬まれることによって感染します。この病気はほとんどすべての哺乳動物に感染し、致死的な脳炎を引き起こすため発病すればほぼ100%死亡する病気です。幸いなことにわが国では昭和32年以降発症がありませんが、海外では現在も多くの国で狂犬病が流行し、世界保健機構(WHO)の推計では年間3.5万〜5.5万人もの人が命を落としています。
- 世界の狂犬病の発生の現況
- 日本、英国、台湾、ハワイなどの島国やスカンジナビア半島の国々など一部地域を除いて全世界に発生しています。 アジア、アメリカ、ヨーロッパ、アフリカ地域の多くの国で、犬や家畜、野生動物に発生しており感染動物に咬まれた人のうち毎年3.5万~5.5万人が命を落としています。 発生の大部分はアジアであり、犬が人への感染源になるケースが多いです。
- 国内における人の狂犬病感染例
- 国内では、人は1954年を最後に発生がありません。(国内での動物の最終発生は1957年です。)
しかし、昭和45年にネパールで犬に咬まれ帰国後に発症した例が1例、平成18年にフィリピンで犬に噛まれ帰国後発症した例が2例あり、不幸なことに3名とも亡くなられています。
- 海外渡航の際の注意点
- 世界各地(特にアジア地域)では、狂犬病が蔓延しています。
狂犬病流行地域に渡航される方は、渡航中に狂犬病に感染しないように、以下のことについてご注意ください。
滞在中にむやみに動物(犬だけに限らず)に手を出さない
万一滞在中に犬などに噛まれたら、すぐに傷口を石鹸水でよく洗い、現地の医療機関に受診し、傷の手当てと同時に狂犬病のワクチン接種(※)を受けましょう。
帰国時に必ず検疫所(健康相談室)に申し出てください
※海外でワクチン接種を受けた際に、そのワクチンのラベルを持ち帰ってください。それが無理な時には、ラベルの内容を書き写してきてください。この情報は帰国してからワクチン接種をする上で、大変重要な情報となります。
詳しくは ↓
狂犬病予防注射について
恐ろしい狂犬病ですが、犬の狂犬病予防注射を徹底し、免疫力を高めておくことによって、犬の狂犬病発生及びまん延を防止し、人への感染を防ぐことができます。このようなことから、法律で毎年1回の犬の狂犬病予防注射が義務づけられています。
犬を飼っておられる方は、狂犬病は愛犬のみならず人命に関わるとても危険な感染症であることをご理解いただき、毎年1回の予防注射を必ず受けて下さい。
(社)長崎県獣医師会では、予防注射を安心して、かつ安全に受けられるように、長年努力してまいりました。その結果、長崎県内の市町は、狂犬病を予防するための事業を(社)長崎県獣医師会と委託契約を結んでいます。
- 予防注射の方法
- 次のいずれかの方法により犬の予防注射を受けてください。
集合注射
犬を飼っておられる皆さんの便宜を図って、毎年4月1日~6月30日に各市町ごとに実施日程を決めて、地区単位に集合注射を実施しています。具体的な日程につきましては、3月頃の市町広報や直接市町役場にご確認ください。
↓注射会場に行く前に!!!↓
各市町から届いた通知文書中に愛犬の健康状態についての問診もしくは予診欄がある場合は、必ず記入してお持ちください。
愛犬をしっかりおさえられる方が連れてきてください。(胴輪はきちんと保定ができません。首輪を付けて来て下さい。また、リードを引いたときに頭が抜けないよう、首輪と首の間に指が2本入るくらいの位置で止めてきてください。また、咬みぐせがある犬にはあらかじめ口輪を付けて来て下さい。)
排尿排便は済ませてからご来場ください。また会場ではリードは短く持ち、他の犬や人に咬みつかないようお気をつけください。
注射会場に行くとき、できるだけ興奮させないようにし、また走らせたりもしないようにしてください。
※なお、初めての方は、集合注射のおりに犬の登録も併せてできます。
動物病院での予防注射
動物病院で予防注射を受けたい方、集合注射時期以外や都合で集合注射に行かれなかった方等につきましては、ご希望の動物病院で予防注射を受けてください。
予防注射を受けたら、必ず注射済証をもらい管轄市町窓口へ提出し、注射済票の交付を受けてください。
- 犬の予防注射等に係る経費(1頭当たり)
集合注射
区分 | 経費 | 支払先 |
---|---|---|
注射料金 | 2,800円 | 獣医師会 |
注射済票交付手数料 | 550円 | 市町 |
動物病院、又は訪問で予防注射を受けた場合
注射料金、注射済票交付手数料
- 注射実施後の注意点
注射後はしばらく安静を保ち、犬の様子に変化がないかよく観察して下さい。なるべく安静につとめながら帰宅し、帰宅後も当日は犬の様子をよく観察して下さい。
注射当日から2~3日間は安静につとめ、激しい運動、交配、入浴またはシャンプー等は避けて下さい。
※予防注射は健康でなければ受けられません。下記に該当する場合には注射を受けられない場合がありますので注射を担当する獣医師にご相談下さい。
病気で治療中の犬。健康上問題があると思われる犬。
今までに予防注射を受けて、体調が悪くなった犬。(アレルギー等)
妊娠中、発情中の犬。
1ヶ月以内に他の予防注射を受けた犬。
犬が著しい興奮状態にある場合。
犬を保定する(押さえる、あるいは静かにさせる)ことのできないとき。
人を噛んだことのある犬(狂犬病鑑定が済んでいない場合)
※ジステンパーやパルボウイルス感染症を予防する混合ワクチンには狂犬病ワクチンは含まれていません。
狂犬病予防の概要
国内では50年間以上本病の発生はありませんが、交通手段の発達により地球規模での移動が頻繁かつ日常的になったことを考えると、わが国に海外から狂犬病が侵入する可能性のあることは否定できず、引き続き狂犬病に対して注意を払うことが必要です。狂犬病予防法の定めるところに従って、愛犬の登録、予防注射を受けることは、愛犬家が社会に対して負っている義務と言えます。
狂犬病予防法は次の4つの事項で構成されています。
- 犬の登録
- 犬の所有者は、犬を取得した日から30日以内に地元の市町で登録を受ける必要があります。(生後90日以内の子犬については、90日を経過した日から30日以内に登録を受けてください。)なお、登録完了後に鑑札が交付されますので、首輪等に装着しておいてください。
また、登録は生涯1回の終生登録となりますので、転居や犬が死亡した場合には、登録をした市町への届け出を忘れないでください。
- 犬の予防注射
- 狂犬病予防法では、犬の所有者は狂犬病予防注射を毎年1回受けさせることが規定されており、同法施行規則で注射の時期が4月1日から6月30日と規定されています。
- 違反犬の抑留(捕獲)
- 未登録犬、未注射犬又は鑑札若しくは注射済票の未装着犬については、狂犬病予防法違反犬として捕獲抑留の対象となりますので、ご注意ください。
- 対象動物の輸出・入検疫
- 犬をはじめ、猫、あらいぐま、きつね及びスカンクを輸出し、又は輸入する場合は、国(農林水産省)の検疫を受けることが義務付けられています。
- 罰則について
- 未登録犬、未注射犬又は鑑札若しくは注射済票の未装着犬の所有者については、20万円以下の罰金規定がありますので、ご注意ください。
その他
愛犬が行方不明になった場合は、保健所等に保護されていることがありますので、最寄りの保健所や警察署、所轄市町等に速やかに連絡してください。